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高温充填でラベルが色移りする?トナーの耐熱性と現場でできる対策

公開日

高温充填でラベルが色移りする?トナーの耐熱性と現場でできる対策

化学製品を高温のまま容器に充填する工程で、ラベルの印刷内容が隣の容器に「写ってしまった」というトラブルが報告されています。レーザープリンターのトナーは熱に強いイメージがありますが、実は一定の温度を超えると軟化し、色移りを起こす性質があります。

このコラムでは、トナーの耐熱特性と温度帯ごとのリスク、そして現場でできる具体的な対策をまとめました。

こんなトラブルが起きていませんか?

化学製品の製造現場では、ドラム缶や一斗缶などの容器に高温の製品を充填する工程があります。

ある化学メーカー様では、容器に貼付したラベルの印刷内容が、隣接する別の容器へ転写してしまうというトラブルが発生しました。

現場からの声

「充填後、隣に置いていた容器にラベルの文字が写っていた」

原因はラベルに使用されているトナーの熱による軟化でした。

レーザープリンターで印刷したラベルは、熱に強いイメージを持たれている方も多いかもしれません。しかし実は、一定の温度を超えると軟化し、色移りを引き起こす性質があります。

なぜ色移りが起きるのか

トナーには「軟化し始める温度」がある

レーザープリンターの印刷は、熱によってトナーを用紙に定着させる仕組みです。そのため「熱に強い」と思われがちですが、トナーにはガラス転移点と呼ばれる特性があります。

ガラス転移点とは、トナーが軟化し始める温度のことです。当社プリンターのトナーでは、約51〜52℃がこのガラス転移点にあたります。

ポイント

ガラス転移点を超えたからといって、すぐに色移りが発生するわけではありません。実際に色移りが起きるかどうかは、複数の条件が重なることで決まります。

色移りが起きる3つの条件

色移りが発生するのは、以下の3つの条件が重なったときです。

  • 温度が高い
    トナーがどれくらい軟化しているか。温度が高いほど軟化が進みます。
  • ラベル面が密着している
    軟化したトナーが他の容器やラベルに直接触れていると、転写が起きやすくなります。
  • 密着した状態が続く
    接触時間が長いほど、色移りのリスクが高まります。

つまり、「高温」+「密着」+「時間」の3つが重なったとき、色移りのリスクが高まります。

温度帯ごとのリスク目安

当社プリンターのトナーにおける、温度帯ごとのリスク目安は以下の通りです。

温度帯トナーの状態リスク

温度帯

約50℃以下

トナーの状態

軟化しない

リスク

懸念なし

温度帯

約52〜70℃

トナーの状態

徐々に軟化し始める

リスク

条件次第でリスクあり

温度帯

70℃以上

トナーの状態

軟化が進む

リスク

実害事例あり

目安まとめ

確実に色移りを回避する基準としては「約50℃以下」を、実害事例に基づく上限の目安としては「70℃未満」をご参考ください。

今回のトラブル事例について

お客様よりご相談いただいたケースでは、充填温度が100℃と、上限目安を大きく超えていました。このような温度帯では、対策なしでの使用は難しく、後述する対策の組み合わせが必要となります。

具体的な対策

高温充填を行う現場では、以下の対策を組み合わせることで色移りのリスクを大幅に下げることができます。

  1. ラベル表面をラミネート加工で保護する
    トナー面が直接、他の容器やラベルに触れないようにする方法です。ラミネート加工を施すことで、トナーが軟化しても他への転写を物理的に防ぐことができます。高温環境での使用が想定される場合は、ラベル発注時にラミネート加工をご検討ください。
  2. 充填後、製品温度が十分に下がるまで容器を密着させない
    充填直後は容器自体も高温になっています。温度が下がりきる前に容器同士を密着させると、色移りのリスクが高まります。充填後はしばらく間隔をあけて保管・搬送することが有効です。
  3. 容器間にスペーサーを挟む
    保管・搬送時に容器同士が接触しないよう、スペーサー(緩衝材など)を挟む方法です。ラベル面への直接接触を避けることで、色移りを防ぐことができます。
  4. 膨張しても問題のない箇所にラベルを貼る
    金属製ドラム缶の場合、胴の部分はやや内側に凹んだ形状になっています。そのため、内圧や熱による膨張が生じても、胴の平らな部分にラベルを貼ることで、隣接するドラム缶との密着を回避できる場合があります。内圧や熱膨張で胴部分が大きく膨らんでいる場合は、膨らみを避けた位置へのラベル貼付をご検討ください。

実際のトラブル事例:某化学メーカーA様(金属製一斗缶での色移りトラブル)

金属製一斗缶に貼付したラベルへ約80℃の製品を充填した際、隣接する一斗缶にトナーが転写される事例が発生しました。充填後も容器同士を密着させたまま保管していたことが、色移りの主な要因と考えられます。上記の対策を組み合わせることで、このようなトラブルを防ぐことができます。

まとめ・チェックリスト

このコラムのポイント

  1. トナーのガラス転移点
    レーザープリンターのトナーには約51〜52℃のガラス転移点があります。
  2. 色移りが起きる条件
    「高温」+「密着」+「時間」の3条件が重なるとリスクが高まります。
  3. 温度帯の目安
    約50℃以下であれば色移りの懸念なし、70℃以上は実害事例のある温度帯です。
  4. 4つの対策
    「ラミネート加工」「冷却後に密着」「スペーサー使用」「貼付位置の工夫」を組み合わせます。

高温充填前の確認チェックリスト

  • 充填する製品の温度は約50℃以下か
  • 70℃以上の場合、ラベルにラミネート加工を施しているか
  • 充填後、容器の温度が十分に下がってから保管・搬送しているか
  • 保管・搬送時に容器同士が密着しない工夫をしているか
  • ドラム缶の場合、胴の膨らみにくい箇所にラベルを貼付しているか

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